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個人情報保護法全面施行と情報保有リスクの存在

    
 最近、個人情報の漏洩、紛失、盗難事件が相次ぎ、一部では情報が闇取引され架空請求などの犯罪に使われているとの報道も散見されます。
 情報の流出は多額の賠償金負担リスクがあるなど、会社の経営のみならず存続そのものの問題に発展します。例えば10月始めの日経新聞の記事を紹介しますと、個人情報保護法全面施行に先駆け、当局は徹底した取締りを実施する方針のように読み取れます。
「カード情報販売に初めて詐欺ほう助罪適用・警視庁」   

  他人のクレジットカード情報(クレジットカード番号や有効期限、氏名、生年月日、住所、電話番号などの個人情報)をインターネット詐欺グループに売ったとして、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターなどは5日までに、福岡県北九州市の元派遣会社社員、立林香奈容疑者(28)を詐欺ほう助の疑いで逮捕した。 同庁によると、ネット上の個人情報売買に詐欺ほう助罪を適用したのは全国で初めて。
  個人情報を入手して販売する行為は、名簿などを盗まない限り窃盗罪にも問えず、取り締まる法律はない。今回は同容疑者が詐欺に使われると知りながら、個人情報を売ったとして、詐欺ほう助罪を適用した。
 従来、経営資源は「人、金、物」と言われた時代は過ぎ去り、現在は明らかに「情報」が新たな経営資源となっています。現場ではIT技術を活用しCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、ナレッジ・マネジメント、データベース・マーケッティングといった管理手法を駆使し、情報を経営資源として如何に活用するか凌ぎを削っているのが現実です。情報を制する者が競争を生き残れる時代、情報を如何に活用するか、命運がかかっていると言っても過言ではありません。

 一方、情報を活かして行ことすれば集める情報量も多くなりますし、社内での共有も必要となります。また経営判断にスピードを求めれば情報の流れを円滑に、且つ加速する必要もあります。これら過程の中で発生する問題は、情報量の増加に比例し保有することそのものがリスクとなることです。

 これからの時代は情報を戦略的に活用し競争力を高める一方、情報保有リスクを最小限に抑えなければなりません。この法律の施行によって、社会も会社も在り方を大きく変えて行くのではないかと思います。来年4月1日からの全面施行に向け、当社では特別チームを設け取り組んでいるところです。