ふれあいコラム Vol.17「田んぼの神様がやってきました!」

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 今年も咲き誇る桜に春の訪れを感じてから、天候にも恵まれ、穏やかな日が続いています。それなのに目は痒いし、鼻はグジュグジュ、とても切ないですが、イライラすることなく花々を愛でて苦しみを忘れたい状況です。

 いにしえから、「さくら」の「さ」は、田んぼの神様のことを表し、「くら」は、神の依りつくところ」と言い伝えられてきました。これを合わせると、「桜が咲くこと=田んぼの神様の出現」と言うことになります。昔から桜の開花と農作業は切り離せない関係にあり、桜と天気と農業に関する諺も多く、その年の農業をも占ってきました。
「桜の花が早く咲けば豊作、桜の花が遅く咲けば凶作」
 桜の花が平年より早く咲くと言うことは、太平洋高気圧の勢力が強く春の訪れが早いので気温も高い年です。この強い状態が夏まで続くことが多いので豊作につながるということです。しかし開花が遅い年は、春の気温が低い年であることが多く逆のことがいえるのです。

「桜の花色薄き年は、いつまでも寒い」
 品種によっても違いますが、年によっても花の色が濃かったり薄かったりします。花色は色素の量によって決まりますので、日射量が大きく関わってきます。晴天で気温が高いときは色素の量が多く色が濃くなり、曇りがちで気温が低い場合は色が薄いということになります。

「桜の白花、多きときは豊作」
 曇りや雨の日が多くなると朝の冷え込みが弱く、農作物の育苗期に大きな霜害を受けないとか、春にある程度の雨が降ることで、梅雨入りまでの干ばつの心配が無いことが多いともいわれます。

「桜が一時に散るときは豊作」
 桜の花が一気に散ってしまうときは、いわゆる春の嵐によるもので、必ずしも豊作かどうか予測が難しいのですが、開花後の気温が低い年は花が長持ちする傾向にあるので、花が長持ちしたら凶作というのは、まんざら嘘ではなさそうです。

 昔のことになりますが、花見の最中に吹雪に遭遇した覚えがあります。その年は春になっても大陸の寒冷な高気圧が衰えず寒さが続き、農作物の生長が遅れ遅霜による被害が出たような記憶があります。このような年は寒さが続くので、寒さによる被害には十分な注意が必要です。また桜の花の色が薄いとか、桜の白花とか、逆のことをいっているところもありますが、本家の年寄りにちょっと聞いてみたところでは、どうやら桜の白花が少ない年(暖かい年)のほうが豊作になる確立が高いようです。

 信じる信じないは皆さんの判断にお任せします。最近は地球温暖化現象のためか「田んぼの神様の出現」に大きな影響を与えていることも事実。身近なところから地球にやさしい行動を心がけ、鼻水の止まらない春から逃れたいものです。
                                                           (化石)